1 生理作用
(1)疏泄(そせつ)全身の気の動きを調節し、身体の生理物質を推動(動かす力)させる機能を疏泄という
疏泄の働きは下記の4つである
① 情志の調節:情志とは感情の働きを表わすこと
② 気の動きの調節
③ 脾胃の補助:疏泄は、中焦(横隔膜からへそまで)の気の働きを調節し、脾胃の機能を補助する
④ 月経の調節:疏泄は、血を女子胞(子宮)に送る作用がある
(2)蔵血(ぞうけつ)
血の貯蔵と血流量を調節する機能を蔵血という
2 肝の関連領域
(1)目
肝の経脈は目に繋がっているため、目は肝の機能が反映される
(2)筋・爪
筋(腱、靱帯、筋膜、筋組織など)は肝の血により栄養を受ける
爪は筋余(きんよ)といわれ、筋と関連する組織となる。そのため、肝の血により栄養を受ける
(3)魂
精神活動を調節・制御する役割
思索・評価・判断などは肝と関連がある
(4)怒
疏泄の働きが過剰になると気の働きが上昇しやすくなり、感情が怒りとして現われやすい
(5)酸
酸味は肝を栄養する
(6)春
風は春に相応する
風は、軽く浮揚しやすく、動きやすい特徴がある
3 病態
(1)肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ
気の動きが悪くなる(気滞)により起こる | |
疏泄の失調 | ①抑うつ ②いらいら ③怒りやすい |
気の動きが滞る(気滞)場合 | ①前胸部の不快感 ②胸肋部痛 |
(2)肝火上炎(かんかじょうえん)タイプ
肝鬱気滞が進行して熱化(肝火)が起こり、肝火が上昇するため、頭顔面部に熱症状が現われやすい | |
肝火が上炎する | ①頭痛 ②めまい ③耳鳴り ④目の充血 |
気の動きが上昇する | ①いらいら ②怒りやすい |
(3)肝血虚(かんけっきょ)タイプ
血の不足により起こる | |
目の栄養が不足する | ①目の乾き ②目のかすみ |
筋の栄養が不足する | ①筋のけいれん ②筋が固くなる ③筋のしびれ |
血が不足する | ①唇や眼瞼結膜が淡白色 ②不眠 ③多く夢を見る |
(4)肝陰虚(かんいんきょ)タイプ
陰液(血・津液(水)・精(気や血の構成成分))が減少することにより起こる(陰虚) ※陰とは陰液(血・津液・精)による栄養、潤い作用(滋潤作用)と冷却・安静作用(寧静作用)のこと |
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肝陰(肝の陰液)が不足する | ①目の乾燥感 ②目の異物感 ③筋のけいれん ④筋が固くなる |
陰虚により熱症状(虚熱)が起こる | ①ほてり ②のぼせ ③寝汗 |
(5)肝陽上亢(かんようじょうこう)
肝陰虚と腎陰虚により肝の気(肝陽)が亢進した状態 ※陽とは気による身体を温める作用(温煦作用)と物質を動かす作用(推動作用)のこと |
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肝陽が亢進する | ①めまい ②耳鳴り ③頭痛 ④目の充血 |
陰虚により熱症状(虚熱)が起こる | ①ほてり ②のぼせ |
腎の機能が失調する | ①腰や膝のだるさ、無力感(腰膝酸軟(ようしつさんなん)) |
(6)風
風は肝を傷つけやすい | |
風よる症状 | ①ふるえ②めまい |
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